およそ夏頃に行われる大学院入試は、内部進学と外部進学に関係なく大学院に進学するには基本的には必要な試験です。
その内容は主に筆記試験と面接試験に分かれており、ここでは特に筆記試験について書いていきます。
この記事では、
・実際に行った大学院入試対策
・使った教科書、参考書等
などをご紹介します!
大学院入試は筆記と面接で行う
大学院入試は基本的に筆記試験の後に面接試験を行う大学が多いです。
先に筆記試験を行い、合格者を対象に研究室ごとや分野ごとに面接をするといった流れになります。
大学によっては内部進学者のうち成績優秀な方の院試免除や面接のみといったこともあるのですが、この記事では主に大学院入試の筆記について書いていきます。
大学院入試の対策
ここからは具体的な大学院入試の筆記試験の対策を紹介していきます。
まずは出題範囲の確認をしよう
大学のホームページ等の募集要項などを確認すると、筆記試験の日程と共に出題される分野が貼られているはずです。
物理系を例にとって確認すると、基礎数学、力学、電磁気学、量子力学、熱・統計力学があって場所によっては英語があったりします。
地球物理系ではこれに加えて流体力学や弾性体力学があります。
学部生の頃の必修科目がそのまま試験範囲になったようなもので、進んだ内容になる物性や素核物理などの専門科目は出題されません。
東北大学の物理学専攻を例に取ると、上で挙げた科目が試験範囲になっていることがわかります。↓↓↓
(2022年度入学試験では英語試験がなく、かわりに願書を英語で書くように要求されました。)
過去問を見つけよう
大学にもよるかもしれませんが、数年分の過去問がWebサイトに掲載されているはずです。
過去問を解くことで問題の難易度や傾向を直接掴むことができます。
また、大学と同じ大学院に進学する場合は研究室に過去問があったり、これまでの先輩方が解いた形跡があるかもしれませんので探してみるといいと思います。
ちなみに過去問は多ければ多いほどいいです。
自分が大学院入試を受けた時の筆記試験は分野によりますが、10年ほど前の過去問にかなり似た問題がありました。
大学院入試の勉強法
ここでは実際に自分が行なっていた勉強と、その反省なども含めてご紹介します。
[全科目共通]演習問題を解き直す
大学院試で出される分野は大学1〜3年の時の科目で幅広く、特に力学や基礎数学などは大学1年の時にやったはずです。
結構前に学んだ内容であるため、いくら物理学が積み上げの学問といえど忘れていることが多いです。(優秀なお方はそうではないかもしれない)
その科目の内容を思い出すためにも教科書を読み直しながら演習を解き直すのが有効な勉強法の一つです。
[全科目共通]過去問を解く
大学受験ですでに実感しているとは思いますが、過去問を解くことは重要です。
なぜなら、先ほどのべたように似たような問題が出題される可能性があり、問題の傾向をある程度読めるからです。
また、院試本番は制限時間内に問題を解く必要があります。
そのため、時間を計りながら過去問を解くことで時間の足りなさやどこまで解けるのかを実感することができます。
できれば同期の友人や研究室の同期と一緒に勉強するといいでしょう。
基本的に院試の過去問には答えは付属しておらず、解きっぱなしにすると合っているかどうかわからなくなります。
解いた後は自分で、もしくは同期や友人と答えを照らし合わせて議論してみてください。
[反省点]もっと過去問を解くべきだった
これまで過去問の重要性を説明しておきながら、私自身は過去問をそこまで大量に解けませんでした。
院試勉強を始めたのはだいたい5月くらいからだったのですが、自分の集中力の無さや至らなさからなかなか本腰を入れることができず、割と直前になって急いで過去問を解きました。
合格自体はしましたが、もっと過去問を解いていれば本番でも不安になることがなく、もっといい成績を取れたかもしれません。
これから大学院試を受けるみなさま、自分のためにも早めに準備を始めておきましょう。
使っていた教科書、参考書等
教科書は主に指定されたりおすすめされたものを使っていたのでここでは省き、ここでは演習形式のような参考書をいくつか紹介します。
基礎数学、力学
基礎数学では複素積分や線形台数、フーリエ級数展開など、かなり幅広く出題される印象があります。
力学は大体ラグランジアンを使ってあーだこーだします。
この二つは特別演習書などは使わないで、教科書見て思い出したり過去問解いてました。
ただ、数学はかなり怪しかったのでかなり初歩的なことからやってました。
電磁気学
電磁気では不慣れな電気双極子の問題がわりと出題されていて、最後まで苦手意識は消えませんでした。
比較的初歩的な演習書としておなじみマセマのキャンパスゼミがあります。
演習じゃない方のキャンパスゼミと同様にわかりやすく、ひさしぶりに解くにはちょうどいいです。
ほかの演習書だと、砂川電磁気を使っていた人にはなじみやすい砂川電磁気演習などもおすすめです。
量子力学
量子力学は量子力学ⅠやⅡだったりいくつかの範囲に分かれて授業が行われていると思います。
二つの大問のうち、一方は量子力学Ⅰの一次元系の境界でのシュレディンガー方程式で、もう一方ではスピンや昇降演算子、球対称なポテンシャルでの粒子を扱うみたいな感じに分かれていました。
キャンパスゼミのほかにわかりやすい参考書として、フロー式物理演習シリーズを挙げておきます。
例題の解答がわかりやすく書かれており、その科目の代表的な問題を網羅的に理解することができます。
熱力学、統計力学
熱・統計力学はほかの教科に比べたら公式やら関係式が多めに出てきます。
できるだけ多くの問題を効率よく解いておきたいので、フロー式物理演習シリーズはおすすめです。
最後に
実際、大学院入試といっても行こうとしている研究室や、外部なのか内部なのかでも状況は変わってくると思います。
例えば、私は実験系の研究室に進んだのですが同じ分野でも理論系の研究室は院試を厳しめに見られる傾向にあるので、かなりちゃんと勉強をする必要があると感じました。
もちろん、そうでなくても勉強は必要ですけどね。
自分の今後に関わる重要な試験なので、あなどることなく準備しておきましょう!