私は現在、大学で物理学を学んでいます。
高校の物理が得意だったということと、なんか楽しそうだな、というはっきりとしない理由で当時の私は進路を決めました。
いざ入学してみると、やはり高校生のイメージと実際の物理学科とは違う部分がありました。
また、物理という学問にあまり触れていない人からすると、「物理学科ってなにするの?」と思うことでしょう。
そこで、現役大学生の私が物理学科とはどんなところかを経験を踏まえてご紹介します!
そもそも物理学とは?
物理学という学問をひとことで説明することはとても難しいです。
というのも、物理学の対応できる範囲はとても広く、新しい分野がどんどん生まれてくるからです。
しかし、物理学の目的を簡単に言ってしまえば、自然現象に潜む普遍的な法則や原理を見つけ出そう、といった感じです。
わかりやすい例でいうと、リンゴが木から落ちることと、宇宙の星々の運動が、実は同じ物理法則に従っているのでは?という予想をして、それが正しいことを証明する。
それによって、何の関係もないほかの物体でも同じ法則が成り立っていることがわかり、さらに現在でもこの場所にもない、遠い場所にある星の数年後の位置まで予想できてしまう、というような感じです。
しかし、これらの法則がどこでも成り立つかというと、そうではなく、原子などの小さな世界では成り立たないのです。
そこで、極微のサイズでも成り立つような法則を見つけ出し、「量子力学」というより普遍的な法則で記述できるような新たな理論が生まれる、という流れで物理学は発展してきました。
少し脱線したような気がしますが、幅広い物理学のほんの一部分の様子はこのような感じです。
物理学を学んで何になるの?
物理を学んで得られる力、スキル、能力的な何かについて私が感じることがいくつかあります。(個人的意見です。参考までに)
物理学的発想力が得られる
物理学では、物事を考えるときに、そのものを考えて解決する、というよりは簡単な例を考えて理解しようとします。
この、基本に立ち返って考える姿勢は重要であると思います。
物理に関係ない進路に進んだとしても、世の中には問題がたくさんあります。
なかには、今までの方法では解決できないようなものもあるはずです。
その時に、根本からの新しい発想によって解き明かすような力をつけることができるはずです。
忍耐力が鍛えられる(個人的意見)
大学で学ぶ学問に共通することかもしれませんが、特に物理学は理解することが難しいです。
講義を聞いて、あるいは教科書を1回読んだだけで、あぁ~なるほどね、完全に理解した!となることはまず無いはずです。 めちゃくちゃな天才は別かもしれませんが。(実際に存在します。)
基本的には理解する努力をして、自分で内容を咀嚼しまくらなければいけないです。
理解できると面白く感じるようになるのですが、理解できない間はだいたい苦しいです。
この苦しさを乗り越えられる忍耐力は間違いなくつくはずです。
変な(いい意味で)知り合いが増える(超個人的意見)
これは、物理学そのものには全く関係ないですが、そもそも、大学にまで入って、物理学を学ぼう!としている人が好奇心旺盛でないわけがないです。(あくまで個人の意見)
特に理学部の人間はどこかしらの変人である可能性が高いです。(誉め言葉)
そのような人たちと知り合いになれるのはかなり楽しいですね。
学部生(1~4年生)は何をするの?
物理学という学問は、理論と実験の二つの要素から成り立っています。
なので、座学も実験もどちらもやります。
大学によっても違うとは思いますが、物理学科の学生がどのような学生生活を送るのかを説明します。
1年生~2年生前半
ここでは全学部共通の教養の授業がある大学が多いでしょう。
私もそうでした。
もちろん物理の授業もあり、力学や電磁気学、熱力学などを主にやると思います。
私のいる大学では、この時期に生物、化学、地学、物理などが体験できる実験があったのですが、レポートがすべて手書き縛りだったので、かなり大変でした…。
2年生後半~
物理メインの授業は2年生の後半以前でもありますが、2年生後半からはほぼ物理の授業のみになります。
物理の学生実験もこの時期から始まります。
さすがにレポートは手書きではなかったので、腱鞘炎になる心配はなくなったのですが、そもそもの設定が難しかったり(自分調べ)、実験のデータが多くて処理が大変でした。
実験では基礎的なことをやったり、解析の方法などを学んだりしました。
4年生~
時期に多少の前後はありますが、4年生になってやっと研究室配属をされます。
研究室にも人気不人気があり、人気の研究室に行くにはいい成績が必要なこともあります。
そのため、早い時期からいい成績を取っておいたほうが安心です。
研究室配属後にも講義はあります。
研究室配属のタイミングは工学部などと比べて少し遅いイメージがありますね。
理学部の学生はかなりの割合で大学院にまで進むので、そのまま院でも同じ研究室、という人もいます。
もちろん外部入学やほかの研究室に行くことも可能です。
大学の物理と高校の物理の違い
大学に入って最初の物理の授業は力学だったのですが、微分、積分などの数学の要素が多くて面食らいました。
高校までの物理でも途中式で計算をしたりはしますが、公式ありきのものです。
問題の設定を考えて、この公式を使えばいいんだな、といった感じで多少暗記のような解き方で何とかなっている部分はありました。
その現象はどうしてその公式になるの?という部分についてはあまり触れていなかったと思います。
大学の物理では違います。
大学では、現象がなぜそうなるのかを詳細に計算していきます。
そのうえで重要になるのが数学です。
物理を学ぶ上で頭に入れておいてほしいことは、数学は物理現象を記述するための非常に重要な道具である、ということです。
そのことを知らずに大学に入学した私はだいぶ戸惑いました。なぜなら数学は苦手だったからです…。
物理で重要な数学(微積、線形代数など)は1年生から2年生前半にかけてやります。
かなり数学に苦手意識のあった私は最初の数学をおろそかにしていました。
そのことが、のちの量子力学などの高度な物理を取り扱うときに響いてきてしまいます。
さっき言いましたが、数学は物理を取り扱う上での必須スキルです。
ぜひそのことを頭に入れて、私のようにならないように気を付けてほしいです…。
色々書きましたが、自分を取り巻く環境に潜む物理法則について理解できるのは楽しいですし、数学によって論理的に記述できるところに私は面白さを感じます。
まとめ:みんなも物理、やろう!
物理は難しいですが、理解できるととても楽しいです。
自然現象の謎を解き明かしたい人、好奇心の旺盛な人、そうでない人にも物理学に興味を持っていただいたらうれしいです。
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